BIM導入の必要性と課題。設備業界での普及率はどれくらい?

建材パーツや設備などのオブジェクトを組み合わせて作成した「BIMモデル」は、各オブジェクトに工数、時間、品番などの情報を付加できます。工数の削減や設備のメンテナンス、管理など建設プロセスを大幅に刷新して効率化できるツールとして国内外から注目が集まっています。今回は、BIMを導入する際に参考にしたい国内の普及率と課題についてまとめました。

設備業界におけるBIMの普及率

BIMは「Building Information Modeling」の略語で、工程の初期段階で仮想建築物などをバーチャル上に構築し、設計、施工などの効率化や工数の削減、施工ミスの低減につながるとして注目されている技術です。建築土木業界では徐々に普及が進んでおり、一般社団法人日本建築士事務所協会連合会(以下、日事連)が2019年9月に発表した「建築士事務所のBIMとIT活用実態にかかわる調査結果について」によると、995の有効回答のうち「導入済みで活用中」と答えた事務所は17.1%、「導入済みだが未活用」は12.9%と合計30%の事業者がBIMを導入していることが明らかになった一方、BIMの導入を巡る課題も同調査から読み取れます。

■総職員数別、BIMの導入・活用状況(%)

導入なし・未定 導入していないが
興味はある
導入予定 導入済みだが未活用 導入済みで活用中
1人 41.7 34.0 3.2 8.3 12.8
2人 33.8 42.1 4.5 6.0 13.5
3人 25.7 47.7 10.1 9.2 7.3
4人 32.0 41.3 1.3 14.7 10.7
5~9人 17.2 44.9 7.9 15.0 15.0
10~19人 18.5 26.9 7.6 16.0 31.1
20~39人 21.8 25.6 3.8 21.8 26.9
40~99人 25.0 25.0 9.4 21.9 18.8
100人以上 19.2 23.1 15.4 42.3
出典:一般社団法人日本建築士事務所協会連合会「建築士事務所のBIMとIT活用実態にかかわる調査結果について」

BIM導入の課題

前述のとおり項目によって多少バラつきがあるものの、全体的に総職員が少ない事務所ほどBIMを導入できていない傾向が明らかになっています。今後、BIMがさらに普及するためには、中小の設計事務所が抱えるBIMを導入する際の障壁を取り除く必要性があると考えられます。その具体的な例を3つ紹介します。

BIM導入の課題1:導入する必要性が低い

アメリカ合衆国などのBIM先進国は、民間・公共事業問わず建築申請の要件の1つとしてBIMデータの納品が義務付けられています。一方、日本では国土交通省がBIMガイドラインを発表しているものの、義務化はされていません。そのため、中小企業や零細事務所がわざわざ従来のフローを見直さなくても仕事を受注できる環境であることも、BIMが普及しづらい理由の1つです。

BIM導入の課題2:導入コストが高い

BIMを導入するためには高額なソフトウェアに加えて、ハイスペックなハードウェアも必要です。このため、費用対効果を考慮しても導入するメリットがないと判断する中小企業も少なくないと考えられます。

BIM導入の課題3:人材の確保と育成

BIMは従来の3DCADとは異なる技術なので、備わっている機能をフル活用できる人材はそれほど多くありません。そのような人材の確保や育成にかけるコストや時間を捻出できない中小企業にとって、BIMの魅力を理解していても導入のハードルは高いと考えられます。

今後10年でBIMでの連携が更に求められる

導入のハードルが高いとはいえ、BIMによるプロセスの短縮化、効率化および材料費の最適化などは、資材高騰や人材不足が今後ますます進行するとされている建設業界にとって必要性が高まると考えられます。BIMの低コスト化はもちろん、人材育成や機能や操作方法のテンプレートを業者間で共有する仕組みづくり、国の後押しなどが必要ではないでしょうか。

BIM導入も視野に入れたプロセスの最適化を検討しよう

BIMを巡る建設業界の状況と導入のハードル、今後求められる取り組みなどについて解説しました。各事業者だけでなく、BIMが普及することは建設業界全体にとってメリットが大きいのは事実です。建築設計などの事業者や関係者は、世界で主流になりつつあるBIMの情報を収集しながらプロセスの最適化を図ってみてはいかがでしょうか。