CADの資格一覧を紹介。建築設備のCADオペレーターに求められる資格と取得するメリットとは?
設備設計を含む、建築設計の技術向上などに利用されることが多いのがCAD資格です。個人はもちろん、会社にとっても従業員がCAD資格を取得するメリットは大きく、なかには受講料を事業所が負担するほか、資格手当を設ける企業も少なくありません。 そこで今回は、会社にとってCADオペレーターが資格を取得するメリットとその代表的な種類をまとめました。

CADの資格を取得するメリット
まずはCADオペレーターが資格を取得することで、会社が得られる代表的な3つのメリットについて紹介します。
CAD資格を取得するメリット1:生産性、業務効率の向上
CADを使った業務のスピードや効率、正確さなどは「個のスキル」や経験に依存しがちです。特に製図の目的や業種に特化していない汎用ソフトはその傾向が大きく、生産性の向上を図るうえではオペレーター個人の技術力の向上が欠かせません。体系的にCADの技術を学ぶ必要がある資格取得は、一定のスキルアップが見込める有力な方法の1つなのです。
CAD資格を取得するメリット2:企業の信用力、イメージ向上
CAD資格の所有者数を会社のホームページに掲載することで、信用の向上を図るケースもあります。資格を所有するオペレーターがいることが必ずPRにつながるわけではありませんが、他社と比較検討された際に優位に立てる可能性があることは確かです。
また顧客だけでなく、採用時にも「積極的に従業員のスキルアップを支援している」という姿勢を示すことで、求職者に好印象を与えられるでしょう。 このように外部に対して自社のイメージ向上を図れることは、資格所有者を増やす大きなメリットといえます。
CAD資格を取得するメリット3:モチベーション向上
CAD資格を取得するメリットの1つが従業員のモチベーションの向上です。手当などを設けている場合はもちろん、資格取得という目標を達成するだけでも普段の業務とは異なる達成感などを得られます。さらにCADの資格を取得するためにスクールに通った場合、同業の人たちと触れ合うことで「新たな気付き」を得られる可能性もあります。 それらの気づきやモチベーションを会社での業務に反映できれば、新しい業務に積極的に取り組むなど、働く姿勢の改善にもつながります。
CADの資格の種類と一覧
汎用ソフトから専門的なものまで、CADの資格には多くの種類があります。会社として資格取得を促進するのであれば、自社の業務にもっとも役立つ資格をあらかじめピックアップする必要があります。代表的な4つの資格についてまとめたので確認してみましょう。
■代表的なCADの資格資格名 | コース | 合格基準 | 主催 |
---|---|---|---|
2次元CAD利用技術者試験 | ・2次元CAD利用技術者試験基礎(IBT) | 正解率70%以上 | 一般社団法人コンピュータ教育振興協会 |
・2次元CAD利用技術者試験2級(CBT) | |||
・2次元CAD利用技術者試験1級(建築・機械・トレース) | |||
3次元CAD利用技術者試験 | ・3次元CAD利用技術者試験2級 |
各分野の正解率50%以上 総合正解率70%以上 |
一般社団法人コンピュータ教育振興協会 |
・3次元CAD利用技術者試験準1級 | |||
・3次元CAD利用技術者試験1級 | |||
AutoCADユーザーオートデスク認定資格プログラム | ・AutoCADユーザー試験 | 正解率70%以上 | オートデスク認定資格事務局 |
・AutoCADプロフェッショナル認定資格 | |||
建築CAD検定試験 | ・建築CAD検定試験4級 | 正解率90% | 一般社団法人全国建築CAD連盟 |
・建築CAD検定試験3級 | 正解率70% | ||
・建築CAD検定試験2級 | 正解率50% | ||
・建築CAD検定試験準1級 | 正解率30% |
CADの国家資格や公的資格は存在しないため、ほとんどの場合、上記のような民間団体が実施する資格の取得を促すことになるでしょう。
建築設備におすすめのCADの資格
建設設備に特化したCAD資格は存在しないため、まずは資格取得を促進する目的や理想のオペレーター像を明確化して、自社で扱うCADソフトや業務内容と各試験が掲げる目的などを照らし合わせ、最適なものを選択する必要があります。
■自社環境と資格選択(例)
自社の環境・資格取得を促す目的 | 資格名 | 出題内容 |
---|---|---|
導入を検討している3次元CADを使える土壌を構築したい | 3次元CAD利用技術試験2級 | ・3次元CADの概念 |
・モデリング手法 | ||
・データ管理やネットワーク知識 | ||
2次元CADに関わる最低限の知識量を平準化したい | 2次元CAD利用技術者試験2級 | ・CADシステムの運用管理 |
・製図の原理、図形の表現 | ||
・セキュリティ | ||
建築設計全般に精通する人材を育成したい | 建築CAD3~準1級 | ・CADトレース技術(3級) |
・立面図の作成(2級) | ||
・CADシステムの設定(準1級) | ||
・課題図面の作図(準1級) |
CAD資格の取得者を増やして生産性向上を実現しよう
CAD資格所有者を増やすことで会社が得られるメリットと、代表的なCADの種類、設備設計関わる資格の選び方について解説しました。資格取得のための勉強は、自学自習のほか、スクールや通信教育などがあります。それらの補助のほか、試験日が近づいたら残業などを極力少なくするなど、受験者の配慮を徹底することでCADオペレーターの愛社精神の向上や資格取得に向けたモチベーションアップにもつながります。