国交省が令和3年度 BIM活用のモデル事業を採択。採択されたモデルと活用事例を紹介

建築業界の各工程の効率化や品質向上に有効なBIM(Building Information Modeling)を普及するため、国は様々な施策を打ち出しています。 その1つが、国土交通省が実施している「BIMを活用した建築生産・維持管理プロセス円滑化モデル事業」で、令和3年度も公募され、採択事業も決定しています。 そこで今回は、建築業界に携わる全ての企業が知っていて損はない補助事業「BIM活用のモデル事業」について解説します。

BIM活用のモデル事業とは

BIM活用のモデル事業とは、設計・施工などのプロセスを横断してBIMを活用する建築プロジェクトを後押しするために、国が費用の一部を補助する事業です。建築BIM推進会議が策定した「BIMのガイドライン」に沿ってプロジェクトを実施し、効果検証や課題分析などを行うプロジェクトが対象となります。 最大3,000万円以下の費用が補助される「先導者型」のほか、自己費用で参画する「パートナー事業者型」、今年度から新たに設けられた最大500万円の補助金を受けられる「中小事業者BIM試行型」の3種類があり、それぞれ対象やテーマが異なります。

■令和3年度のBIM活用モデル事業公募テーマ(先導事業者・パートナー事業者)

1.BIMを通じたデジタルデータの活用による、BIMの活用による生産性向上、建築物・データの価値向上や様々なサービスの創出等を通じたメリット(特に発注者メリット)の検証等 2.BIMデータの活用・連携に伴う課題(特に発注者と受注者の役割分担等)の分析等 ※括弧内は先導事業者のみ

■令和3年度のBIM活用モデル事業公募テーマ(中小事業者BIM試行型)

1.建築プロジェクトへのBIMの導入や試行的な取り組みを通じて生じる「課題の分析」と、その「課題解決のために実施する対応策」の検討 2.「1」の検討を通じた「BIMの活用効果」の検証と、その効果を増大させる「今後の改善方策」の検討 3.「1」と「2」を通じた、中小事業者のBIMの導入・活用ロードマップ素案を提示

今年度からは中小事業者向けの公募も始まり、事業規模や設計・施工分野・維持管理の分野を問わず、幅広い企業などが参画しやすくなっています。

令和3年度採択のBIM活用モデル事業

5月中旬に先導事業者、6月にはパートナー事業者に採用された提案が決定しました。それぞれの提案内容を確認してみましょう。

先導事業者型

応募件数16件に対し、7件の提案が採択されました。総評に「様々な企業規模、立場から多数の提案があった」と記載されている通り、宿泊施設や技術研究施設、仮想の全国チェーン施設の維持管理のほか、企画・基本計画~設計のプロセスのBIM活用プロジェクトなど、対象となる建築物や目的も多様です。

■先導事業者型の採択提案概要

提案企業 内容
株式会社アンドパッド ほか5社 木造住宅における、BIM とクラウドサービスを用いた CDE と ECI の効果検証・課題分析
株式会社梓設計 ほか2社 VR モックアップの効果検証と維持管理 BIM の課題分析
株式会社日建設計 ほか1社 Life Cycle Consulting 発注者視点での BIM・LCC に関する効果検証・課題分析
株式会社奥村組 技術研究施設における BIM モデルを用いた維持管理業務効率化等の検証
スターツアセットマネジメント株式会社 建材と施工の電子商取引に向けた BIM データ連携の効果検証・課題分析
大和ハウス工業株式会社 ほか1社 業務効率及び発注者メリットを最大限に創出する【役に立つBIM】の効果検証
日建設計コンストラクション・マネジメント株式会社 ほか1社 建物のライフサイクルを通した発注者による BIM 活用の有効性検証(令和 3 年度事業)

パートナー事業者型

パートナー事業者型は、先導事業者型に提案したものの採択には至らなかった中から、評価委員会に一定の評価があり、パートナー事業者として実施事業者に同意を得られたものも対象となります。 計5件が採択され、施工者が専門工事会社との連携にBIMを用いるなど「必ずしも発注者のメリットにとらわれない提案」が多く見られました。

■パートナー事業者型の採択提案概要

提案企業 内容
鹿島建設株式会社 BIM を活用した建物ライフサイクル情報管理とデジタルツイン及びソフトウェアエコシステムによる支援の検証
明豊ファシリティワークス株式会社 発注者の資産となるべき情報の BIM 活用における調査・検証・課題分析
東急建設株式会社 増築工事における、BIM モデル活用による生産性向上の検証
大成建設株式会社 生産施設における BIM 活用検証(環境・木材利用・建築生産)
東洋建設株式会社 クラウド コンピューティングを活用したプロジェクト関係者間における B、C 工事も想定した BIM データ連携およびコンピュテーショナルデザインとスペースマネージメントに関する取り組み

BIM活用モデルを事例に着目しよう

BIM活用モデルの概要と採用された提案について紹介しました。パートナー事業者型、先導事業者型はもちろん、令和3年度から始まった「中小事業者BIM試行型」の採択の公表も控えているのでBIMに興味がある人はもちろん、いずれの提案も今後、建築業界におけるBIM活用の手本となる可能性もあるので、定期的に国土交通省のホームページを確認することをおすすめします。