国土交通省が大規模構造物の詳細設計でBIM/CIMの原則適用を開始。今後の建設業界はどう変わる?

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国土交通省は、建設生産システムそのものの生産性向上を図る「i-Construction(アイ・コンストラクション)」を推進しています。また、その実現のためには「ICTの全面的な活用(ICT土工)」が有力な手段の1つとされており、特に建設プロセスを大幅に刷新できる「BIMモデル」の普及拡大にも注力しています。

2021年9月、BIM/CIMに関する新たな制度の原則適用の方針が示されました。これにより2022年度以降、対象工事の一部工程ではBIM/CIMでしか原則的に納品することができなくなります。今回はその内容と今後の流れについて解説します。

令和3年度より大規模構造物の詳細設計にBIM/CIMが原則適用に

まずは国土交通省が積極的に取り組んでいる「BIM・CIM運用拡大」の全体像を確認しましょう。 国土交通省は2010年代からBIM/CIMの活用を推進しており、2020年2月には「第3回 BIM/CIM推進委員会」で2025年度までに全ての直轄事業に原則適用する方針を打ち出しました。さらに新型コロナウイルス感染症の影響で、建設業界全体のデジタル変革が急務となったことから期限を2023年度に短縮することを決定。今回の適用はその足掛かり的な立ち位置となっています。

■原則適用拡大のロードマップ

2020年度 2021年度 2022年度 2023年度
大規模構造物 全ての詳細設計・工事で活用 全ての詳細設計で原則適用 全ての詳細設計・工事で原則適用 全ての詳細設計・工事で原則適用
上記以外 一部の詳細設計で適用 全ての詳細設計で適用 全ての詳細設計・工事で原則適用

2021年度は原則適用では一般土木、鋼橋上部の詳細設計において、2020年に国土交通省が作成した「3次元モデル成果物作成要領」に則った形式の3次元モデルの作成と納品が求められるようになったのです。 大規模構造物の詳細設計(意匠設計、構造設計、設備設計)に限られてはいるものの、2022年度には設計図書の照査や施工計画にも3次元モデルの検討が求められるため、関連企業はもちろん建設業界の他の領域の事業者や関係者も動向を注視しておく必要があるでしょう。

BIMの導入可否がより重要となる

BIM/CIM推進委員会の取り組みはあくまで公共事業が対象ですが、将来的には他の領域も含めたBIM/CIMの普及促進と、関連規格の標準化も考えられます。同委員会の発表によると2020年度のBIM/CIM活用業務・工事の合計は515件であり、前年から40%以上増加していることも明らかになっています。

BIMは各オブジェクトに工数や時間、品番などの情報を付加できるツールであり、設計・施工・保守、全ての工程において自動化や遠隔化の実現を図れると期待されています。 国土交通省は原則適用と並行して、「BIM/CIM活用ガイドライン」の作成と改訂、BIMを活用できる人材の研修を実施するなど後押しも行っています。このような活動によって、BIM/CIMの活用が業界全体で一般的になる未来はそう遠くないかもしれません。

BIMに関する知識を深めよう

国土交通省が方針を示した「大規模構造物の詳細設計にBIM/CIMが原則適用」について解説しました。同方針は2023年度までの詳細設計・工事への原則適用の流れの一部なので、今回原則適用の対象外となる企業も、BIMが既存の業務にどう関わり、どのように対応すべきか考えておく必要があるのではないでしょうか。 また、BIMだけでなくIoTやデジタル化、ロボットなど幅広い変革が建設業界には求められています。これらに適宜対応できるように、業界動向のチェックも行わなければなりません。