建設業界での3Dプリンタの活用。活用事例と今後の展望を解説

従来よりも早く手軽に立体モデルを製作できる「3Dプリンタ」は、製造業を中心に幅広い分野で活躍しています。建設業界でも3Ⅾプリンタが活躍するシーンが広がっており、今後は3Dプリンタで製作された立体モデルや構造物を目にする機会が増えるかもしれません。 今回は建設業界と3Dプリンタの関わりと導入の課題、活用事例などを紹介します。

建築に3Dプリンタを導入するメリット

3Dプリンタでは3DCADで設計した「STLデータ」をもとに、現物の立体モデルを製作することが可能となります。ABS樹脂やPLA樹脂、ナイロン、アクリル、金属といった多様な素材を薄くスライスして重ねることで、データ上の構造物を現実に再現することが可能です。金属やコンクリートなどの素材で構造物を造ることもできるので、これまでにない建築手法、デザインなどを実現できるようになりました。

メリット1:新しいデザインを実現できる

3Dプリンタで構造物を作成する際、これまでのように型枠などは必要ありません。そのため、従来では困難だった複雑な形状や精密なデザインを再現しやすくなりました。滑らかな曲線や流線形など近未来的な構造物を現実にできるのは、3Dプリンタの大きなメリットといえるでしょう。

メリット2:建築コストの削減

3Dプリンタを活用すれば材料費、人件費、運送費などの削減が可能です。例えば、通常の建築の場合、1軒の家を建てるだけでも様々な資材を購入して管理しなければなりませんが、3Dプリンタは基本的にコンクリートなど単一の素材で、小さな建築サンプルから戸建てまでつくることができます。窓ガラスや木材など最低限の資材で建築物を建てられることは、大きなコスト削減につながります。さらにより少ない人数で家を建てられることも、人件費削減だけでなく、慢性的な人手不足の解決にもつながります。

3Dプリンタ導入の課題

3Dプリンタを導入することで、顧客への提案や設計、建築プロセスそのものに大きなメリットが得られると期待されている一方、その実現は簡単ではありません。 その課題の1つが、建築基準法で定められた基準が3Dプリンタによる建築を想定していないため、法定を遵守した建物を造りにくいということです。

さらに3Dプリンタの導入コストも高いハードルとなっています。建設業界で活用される3Dプリンタには、汎用性が高く開発費用が2000万円と高額な「アーム型」とコストは低くいものの、印刷範囲がフレームに依存する「ガントリー型」の2種類があります。コスト面ではガントリー型が有利であるものの、建築物によってフレームを都度入れ替える必要があるので一長一短といえるでしょう。

また、3Dプリンタを使って建築物を造る場合、適切な素材や技術のあるスタッフを集められなければ、人件費と工数が既存の施工よりも増えてしまうことも考えられます。そのため、個々の企業はもちろん、業界全体を巻き込んだ「法整備の訴え」や3Dプリンタに関する人材育成などが求められています。

海外の3Dプリンタの活用事例

3Dプリンタを使った家や橋などの構造物は既に海外では多く存在しています。例えば、中国では1,100平方メートルの大豪邸が3Dプリンタで造られているほか、全長約26.3メートルの橋をたった18日で完成しています。また、貧困世帯向けの3Dプリンタで24時間、60万円で建築できる住宅もあります。

3Dプリンタの動向を注視しましょう

建築業界における3Dプリンタの現状について解説しました。3Dプリンタが普及すれば建築コストや工程の省略化が期待される反面、法整備が追い付いていないのも現実です。従来の建築業界のあり方を大きく変える可能性もあるので今後の動向もチェックしてはいかがでしょうか。