BIMの資格整備や教育拡充に。一般社団法人BIM教育機構がBIM理解度を高めるオンラインサービスを開始
BIM(ビルディング・インフォメーション・モデリング)は、幅広い建設物の企画設計・施工・保守管理のプロセスの改善や効率化に役立つとして、国や業界を挙げて導入が推進されています。 BIMを普及するうえで欠かせないのが、最新のデジタル技術を使いこなせる人材の育成です。そのため、公的機関・民間を問わずBIMに関する講習や資格を整備する動きが強まっています。今回はその一例を紹介します。

BIMに関連する資格
BIMに関連する国家資格などの公的な資格は、2022年現在は設けられていません。主な資格試験としては、BIMの代表的なソフトウェアである「ARCHICAD」と「Revit Architecture」が実施しているユーザー試験が挙げられます。
ARCHICADオンライン認定試験
BIMソフトとして30年以上、世界の建設業界で活用されているARCHICADのユーザー向けの試験です。受験料は無料でオンラインで受けられます。 100点中、獲得した点数によってマスターもしくはゴールドマスターの資格をもらえ、マスターは実務に求められる操作や設定ができるチームリーダーレベルで、ゴールドマスターはより上位のプロジェクトの管理者として、適切なマネジメントができるとされています。
Revit Architecture ユーザー試験
CADソフト「AutoCAD」を提供しているAutodesk社のBIMソフト「Revit 」の操作技能を測る試験です。世界中で使われているソフトの実用的なスキルを確認できるので、グローバルかつ汎用性が高いことがメリットです。 一方、受験者は既存のユーザーもしくは事務経験者を想定しているため、試験内容は基礎から、「最適な操作を行うために必要な操作とは?」といった実践面まで幅広く問われます。さらに合格するためには、およそ70%以上の問題に正解しなければならないため、Revitに触れたことがないユーザーにとってはハードルが高めといえるでしょう。
一般社団法人BIM教育機構の取り組み
ARCHICADオンライン認定試験とRevit Architecture ユーザー試験のいずれも有意義ではあるものの、BIMの基本を網羅的に学ぶためには、ソフトウェアに偏りすぎてしまう側面があります。海外と比べると、BIMの導入が遅れている日本においては、今後は既存の資格試験よりも平易で基礎的な試験の必要性が高まると想定されます。
一般社団法人BIM教育機構(佐野吉彦理事長)は、BIMを利用できる人材育成の一環として「BIM基礎知識診断」を2022年1月20日からスタートしました。同法人が制作、提供している書籍「建築・BIMの教科書」から出題されるので、BIMを独学で学んでいる人や実務で操作したことがない人にとっても、知識の習得状況が確認できます。ARCHICADオンライン認定試験とRevit Architecture ユーザー試験にはない、大きな特徴といえるでしょう。
■BIM基礎知識診断テストの概要
診断名 | BIM基礎知識診断テスト |
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実施方法 | オンライン |
診断期間 | 受診情報メール受信後1カ月間、期間中1回の受診 |
診断料 | 3,300円(税込) |
出題範囲 | 「BIM BASICⅠ建築・BIMの教科書」より出題 |
出題数・出題形式 | 30問 4肢択一方式 |
診断時間 | 60分 |
運営団体名 | 一般社団法人BIM教育機構 |
今後BIMはさらに普及していく
BIMの試験・資格について解説しました。BIMが普及するうえで多くの企業が「ヒトとカネ」の課題に直面する可能性は少なくありません。特に先進技術を有する人材の確保には、時間と費用が求められるため新たな取り組みも検討しなければなりません。社員のBIM教育を行う際は、今回紹介したような試験を活用することをおすすめいたします。