無料の3D都市モデルデータ「PLATEAU」とは?活用方法もあわせて解説
日本の主要産業の一つである建設業界の発展のために、国や政府はさまざま施策を打ち出しています。国土交通省が提供している無料の3D都市モデルデータ「PLATEAU(プラトー)」もその代表的なプロジェクトです。
今回は、PLATEAUの概要と具体的な利用シーンについて解説します。誰でも今すぐに使えるWebアプリケーションなので、ぜひ興味を持った人はアクセスして実際に触れてみましょう。

PLATEAUとは?
「PLATEAU(プラトー)」は、国土交通省が2020年度に本格稼働した日本全国の3D都市モデルの整備・活用・オープンデータ化のプロジェクトのことです。3D都市モデルとは、現実の都市をサイバー空間に再現したデータで、都市活動に関わるさまざまなデータを仮想空間に集約し、都市計画や街づくり、建設工事など多様なシーンに役立てることが目的とされています。PLATEAUが掲げる3D都市モデルの3つの提供価値について確認してみましょう。
1.ビジュアライズ(視覚性)
都市空間を立体的に認識できるようになる。各プロジェクトでの説明力や説得力の向上につながる。
2.シミュレーション(再現性)
施策や工事などのプロセス、結果をあらかじめ仮想の都市空間でシミュレーションが可能になる。従来のシミュレーションよりも再現性が高く、精度の向上が図れる。
3.インタラクティブ(双方向性)
現実と仮想空間で情報を交換しあうことで、PDCAサイクルなどを回しやすくなる。
2022年4月現在、PLATEAUでは東京23区をはじめ北海道札幌市や新潟市といった地方都市などの都市を3Dデータ化し「オープンデータ」としてWebで公開しています。PLATEAUは「デジタルツインプロジェクト」の重要なポイントの一つであり、前述した三つの価値が複合的に発揮されることで新しいソリューションの創出を狙っています。
PLATEAUの活用方法
PLATEAU(プラトー)では、公共事業だけでなく民間の企業にも積極的に3D都市モデルを活用したユースケースの創出に注力しています。2022年度では社会解決型のユースケースとして計25件、民間サービス創出型では16件、地方公共団体のプロジェクトは約60都市で計37件のユースケースが社会実装される予定となっています。
広告効果シミュレーション
仮想空間上でAR屋外広告の管理システムを実装します。3D都市モデルおよび景観ルールなどと連携して、よりフィジカル空間に近い環境で都市AE屋外広告における課題の抽出を行うとしています。
災害時の即時的な現状把握及び救援活動支援静岡県掛川市と民間企業が共同で、災害発生時の被害状況の正確な把握、円滑な救助活動の実現や二次災害の防止などにつながるシステムの実証をはじめます。3D都市モデルと自治体情報や3D測量データなどを連携して、より迅速な対応につなげられるか検証する予定となっています。
防災リスクの可視化
屋内外をシームレスにつなぐ避難シミュレーションや河川が氾濫した際の浸水シミュレーションなども既に実施されています。
モニタリング
屋内センサーによる人流モニタリングを行うことで、効率的なサービスの提供や防災にもつなげられます。さらに交通量などもリアルタイムで把握できます。
まちづくり
自動運転に必要なVPSとして3D都市モデルデータを活用するほか、太陽光発電のパネルを設置する前の「ポテンシャル推計」、光の反射のシミュレーションなども既に静岡県や石川県で実施されています。
3D都市モデルと自社の事業の関わりについて考えてみましょう
PLATEAUの概要と活用例について解説しました。3D都市モデルデータはつくるだけではなく、その後の活用を含めて大きな価値が生まれるソリューションです。オープンデータ化されているのも、多くの人がデータを身近に感じることで「自分ごと」として考える機会を増やす目的があると考えられます。特に建設業界は「まちづくり」や「防災」に関わりが深い産業なので、ぜひ一度、PLATEAUの3D都市モデルに触れてみて「自分だったらどう活用するか」と考えてみてはいかがでしょうか。