建設業界におけるBIMの導入状況。BIM活用の課題とは

BIM(Building Information Modeling)の普及は、建築業界全体の利益につながることから国を挙げて推進されています。ただ、海外と比べるとまだ日本で活用している事業者の数は多くありません。 今回はその具体的な状況を国土交通省の資料の内容をもとに、分かりやすくまとめて解説します。BIM普及に向けて今後、業界を挙げて行うべき具体的な取り組みについても紹介するので、ぜひ確認してください。

建設業界におけるBIMの導入状況

2020年2月に国土交通省が発表した「建築分野における検討WG(建築BIM推進会議)の活動状況について」では、設計分野と施工分野のそれぞれのBIMの活用状況が明らかになっています。まずはその詳細を確認してみましょう。

■設計分野でのBIM活用状況

・導入実績あり:34%
 ※積極的に活用している企業:19%
・導入実績なし:66%
 ※導入予定およびBIMに対して興味がない企業:33%

■施工分野(ゼネコン)でのBIM活用状況

・導入実績あり:71%
 ※積極的に活用している企業:54%
・導入実績なし:29%
 ※導入予定およびBIMに対して興味がない企業:5%

調査を実施した2018年3月時点では、主に大手ゼネコンを中心とした施工分野で、BIMの導入が進んでいることが明らかになりました。その一方で、設計分野においては導入実績が30%程度で、施工分野と比べると約40%も差が生じています。 さらに導入に積極的な姿勢も、ゼネコンと比べると少ないことが浮き彫りになりました。 この結果、「各分野の導入格差」が今後のBIMの普及を左右する大きな要因であることが考えられます。

BIM導入の課題

BIMは1つのモデルにプロジェクトに関わる情報を集約し、設計、施工、維持管理のすべての工程の効率化・省力化が図れることが最大のメリットと考えられています。 しかし、前述の調査では設計分野と施工分野の導入率に格差があり、各工程で十分に連携できず、BIMの最大メリットである「情報の一貫性(入力情報の引き継ぎ)」が確保できていないことが明らかになったのです。 設計と施工でデータが断絶してしまうと、維持・管理の工程におけるBIMの導入メリットも小さくなってしまいます。 さらに、各分野内においても以下のようにBIMの導入・活用率にバラつきがあることも明らかになっています。

■BIM導入の利用状況と課題

(設計BIM)実施設計までの活用は稀であり、意匠・構造・設備の分野での活用状況に差がある
(施工BIM)サブコンでの活用が少なく、メーカーの対応に差がある

このような現状を打破するためには、どのような取り組みが必要なのでしょうか。目指すべき理想と必要な取り組みについて紹介します。

BIM導入に向けて企業が必要な取り組み

建築BIMが各分野に普及すると「いいものが無駄なく早く造れ、建築物そのものの社会的価値向上」が図れるとされています。 少し抽象的すぎるので、それぞれの例を以下で紹介します。

1.いいもの:高品質で高精度な建築生産・維持管理の実現

・3Dモデルの形状と属性情報を空間で確認可能。発注側もイメージを共有できる。
・設計、施工の情報が一元管理できるので、効率的な品質管理の実現につながる。

2.無駄なく、早く:高効率なライフサイクルの実現

・投資効果を可視化でき、意思決定の迅速化につながる
・設計、施工の各工程の効率化
・海外との共通もしくは競争基盤としてBIMを確立できる

3.建築物の価値拡大

・リアルタイムで適正な資産評価、資産管理を実現
・ビッグデータ、AIを活用し、建築物を起点とした新たな産業の創出につながる

このような理想を実現するためには、建築業界は以下の7つの取り組みを推進すべきと建築BIM推進会議は提言しています。

■建築業界が取り組むべき項目

1.BIMを活用した建築生産・維持管理に係るワークフローの整備
2.BIMモデルの形状と属性情報の標準化
3.BIMを活用した建築確認検査の実施
4.BIMによる積算の標準化
5.BIMの情報共有基盤の整備
6.人材育成、中小事業者の活用促進
7.ビッグデータ化、インフラプラットフォームとの連携

いずれも個々の事業者が単独で行うことは困難ですが、今後の業界の潮流に大きく関わるので、各項目について理解を深めることをおすすめします。

BIM導入の取り組みと業界動向を注視しよう

建築業界のBIMの導入状況と課題について解説しました。今後、BIMの導入が各分野で活発化すると、BIMに対応できないことによる失注のリスクが高まるなど、事業の損失に関わる可能性もゼロではありません。そのため、定期的にBIMに関する国や業界団体、大手企業の取り組みについて情報を収集することをおすすめします。